はじめに
Blenderで3次元のオブジェクトを用いた動画を作成すると、それをレンダリングして動画などを作成することができます。しかし、カメラの位置及び向きとランプの位置についてはレンダリングを行う前に作成者自身で調整を行う必要があります。これらの調整にはそれなりに試行錯誤が必要であることと、その試行錯誤自体がそれなりに手間のかかる作業であるため、できるだけ最初の結果までは手早くたどり着くことにより、動画作成時におけるモチベーションの維持を図りたいところです。
そこで、本記事ではBlender(2.78a)でレンダリングをする前にカメラの位置及び向きとランプの位置をできるだけ手間をかけずに調整する方法について書いてから、レンダリングまで進む方法について書きます。
調整前の位置の説明
本記事では、本サイトで以前の記事で作成の方法について書いた数式を3D化したblenderファイルを使用します(以下のblenderファイルです)。
調整前のカメラ、ランプ及びオブジェクト(このblenderファイルでは3D化された数式ということになりますが、以下本記事では単に「オブジェクト」と書くことにします。)の位置を3Dビュー内の座標系における位置を調べますが、位置はプロパティ内の「トランスフォーム」パネルに表示されますので、まずNキーでプロパティを表示させます。表示させると、以下のような画面になります。
本記事で例として使用しているblenderファイルではオブジェクトが回転しているので、フレーム番号1でのカメラ、ランプ及びオブジェクトの3Dビュー内の座標系における位置は以下の通りになります。
- カメラ:上図に示した範囲のかなり上方に位置していることがわかります。
- ランプ
- オブジェクト: 重心の場所及び寸法は以下の通りです。
座標表示だけでは位置関係のイメージが湧きにくいかもしれないので、3Dビュー内で視線を適当に移動させた動画を下に貼っておきますので、参考にしていただけると幸いです。
位置の移動の方法
本記事ではオブジェクトは移動させずに、カメラ及びランプを移動させてレンダリングのための適切な位置関係に変更する作業を行うことにします。以下の手順でカメラ及びランプを移動させます。
- カメラの位置と向き(プロパティの「トランスフォーム」パネルでは「回転」と表示されています。以下、「回転」と書きます。)を変更し、カメラの視線がオフジェクトの重心を通るように調整します。位置のうち\(x,z\)座標についてはオブジェクトの重心の\(x,z\)座標と同一の値に変更します。また、「回転」の\(x,y,z\)の値についてはオブジェクトが\(90,0,0\)となっていますので、これと同一の値に変更します(オブジェクトの「回転」の\(x,y,z\)が\(90,0,0\)でない場合には別途カメラの視線がオブジェクトの重心を通るように調整するための計算が必要になりますが、記述を簡単にするため本記事では触れません)。
- カメラの\(y\)座標の値もオブジェクト寄りの値に変更します。下の図では\(y=-3\)としています。
- ランプの位置をオブジェクトに向かって右に寄せたいので、\((0.9,-2,0.5)\)に変更します。また、ちょっと暗い感じがするので、プロパティウィンドウのヘッダから「オブジェクト」を選択し、「ランプ」パネルの「エネルギー」という値を1から10に変更します。すると、オブジェクト全体が白く光る感じになります。
いよいよレンダリング。
レンダリングは以下の方法で行うことができます。
[2019/01/01追記] 2.79以降ではH.264の選択方法が変更されているようです。詳しくは、「References/参考文献」のリンク先を参照ください。
- プロパティウィンドウのヘッダから「レンダー」(カメラのアイコン)を選択します。
- 「寸法」パネルの「解像度」の「X:」及び「Y:」の下に「50%」という表示(「レンダリング解像度の大きさのパーセンテージ」)があるので、これを「100%」に変更します。また、フレームレートを「29.97fps」に変更します。
- 「出力」パネルのフォーマットは「H.264」を選択します。また、そのすぐ右側にある「RGB」を選択します。また、出力ファイルを指定します。
- 「エンコーディング」パネルは「フォーマット」のプルダウンリストから「MPEG-4」を、「コーデック」のプルダウンリストから「H264」をそれぞれ選択します。
- 「レンダー」パネルの「アニメーション」ボタンを押します。
- しばらく待つとmp4ファイルが生成されます。以下のような感じの動画を作成することができます。
まとめ
Blenderは操作方法を習得するのがあまり簡単ではないために、動画が出来上がる前に気持ちが折れてしまいがちだと思います(というか、そう感じました)。
そこで、とりあえず動くものを作る手順を備忘録的なものでもいいから残しておきたいと思い、「LaTeXで書いた数式を3D化して回転させる動画を手っ取り早く作るにはどうしたらよいか。」というモチベーションが維持しやすそうなテーマ(本サイト比)を設定して、ここまでその手順についてまとめてみました。
ここまでの記事が動画を作る際のモチベーションの維持に貢献できれば幸いです。また、別の記事で他の式を回してみたり、微調整的な小ネタを書く予定です。
本記事は以上です。