はじめに
ディリクレ積分
を証明する方法は複素積分を使う方法をはじめとしていろいろあります。
それ以外の方法はないかと、いろいろと調べて回っているうちにどこかで見かけたフーリエ変換を使う方法が面白そうだなと思ったまま、そのURLを失念してしまったので、自力で計算してみることにしました。
計算をするにあたり、関連する情報がいろいろと出てきたので、ついでにメモしておきます。
さっそく、計算してみます。
矩形関数のフーリエ変換
というわけで、かなり唐突かもしれませんが、(
以下のようなグラフになります。矩形波1個分です。
(
となります。
そこで、フーリエ変換
と計算できます。
逆変換してみます。
次に、
ここでフーリエ逆変換を計算する前に、(
すると、(
となることがわかります。
そこで、
(
となります。
なお、
スポンサーリンク
また、
となります。
以上で、(
ここからが本当のフーリエ逆変換です。
ここで、
ここで、
となります。(
(
と表すことができます。ただし、
を表します。
(
ここで本題に戻りまして、(
最後の2行については
なお、変形の途中で
となります。
(
となりますので、(
となります。
元の関数が再び現れましたね。
以下、余談が続きます。
ディリクレ関数
何かとディリクレ積分と間違えられやすいディリクレ関数ですが、ディリクレ関数は「すべての実数で定義される有理数の時に1、無理数の時に0をとる関数」で、(
詳細な解説については参考文献に示したURLまたはWikipediaをご参照いただければと思います。
定義がわかりやすかったり、整数の階乗を有理数を選び出すために使ったりしているところは非常に面白いと思うのですが、どのように応用したらよいかがよくわからない関数ではあります。
ディリクレ積分が絶対可積分でないことの証明
次に、ディリクレ積分は絶対可積分でないこと、すなわち、
であることを証明してみます。
と変形できますが、(
Wikipediaには
まとめ
ディリクレ積分は複素積分を利用して計算されることが多いです。
複素積分を使うと初等的には計算できない積分も計算できる場合があるので、ツールとしての汎用性が高いと思いますが、前提となる知識もその分多くなります。よって、手っ取り早く結果だけを知りたいときになどにこの記事で書いたような技巧的な計算方法があることを頭に入れておくと何かの役には立つかもしれません。
この記事は以上です。