はじめに
かなりの出費です。
機器が新しくなるとそれらで使われている規格や仕様も新しいものになるので、自宅においてそれらの機器との接続先になる無線LANのルーター(ELECOM WRC-1167GHBK2、以下、単に「ELECOMのルーター」と書きます。)も新しい規格や仕様に対応したものに交換したくなってきます。
そんなわけで、無線LANのルーターを買い替えることにしました。
実際に置き換えてみるといろいろと思惑通りにはいかないところも出てくるので、その際に地味に困ったことについてメモ書きすることにしました。
無線ルーターを取り巻く環境の説明
自宅の内部のLANは有線LANの部分と無線LANの部分にわかれていますが、ネットワークとしては単一のLANセグメントを構成しています。
物理的には自宅の内部のLANは契約中の通信会社から貸与されているAterm(以下、単に「Aterm」と書きます。)がインターネットと有線LANの両方に接続されていて、さらに今まで使っていた無線LANのルーターも接続されるという接続形態になっています。
無線LANのルーターはアクセスポイントモード(APモード)を使用していますが、無線LANで接続してきた機器へのIPv4及びIPv6アドレスは通信会社から貸与されているAtermが持っているDHCPサーバが割り当てることによって無線LANによるネットワークを構成しています。
困ったことその1: PCは無線LANのルーター経由で接続できるのに、スマホだけがつながらない件。
現象
有線LANの部分にはデータ倉庫的な感じで使用しているサーバ群がいます。
それらのサーバ群については何らかの理由でLANへの接続が一時的に難しくなったとしてもただちに困ることはない感じな一方で、無線LANの部分にはテレワークなどの仕事で使うPCや「使い勝手が命」のスマホが接続してきます。よって、入れ替え作業のためとは言っても長期間にわたり無線LANを止めるのは現実的ではなさそうです。
そこで、無線LANルーターを買ってきてアクセスポイントモード(APモード)に設定し、接続できるかどうか試してみたのですが…
PCの接続はうまくいきました。
しかし…
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スマホ(ROG Phone5(ZS673KS)、以下同様に単に「スマホ」と書きます。)についてはインターネットへの接続ができなくなってしまいました。
嫁様のZenfone 8でも同様の結果でした。
上図の赤矢印のように×印がアイコンに表示されてしまうと、インターネット方面への接続ができなくなってしまいます。
なお、IPv4アドレスはAtermによって割り当てられたIPv4アドレスが設定されているようです。
原因の分析と対応策
今まで使っていたELECOMのルーターでは前節のような問題は発生していなかったため、原因の見当をつけるまでに時間を要してしまいましたが、スマホ側のルーティング情報を調べようと思い、こんなこともあろうかとスマホにインストールしておいたTermux上でip routeコマンドを実行してみました。
その結果、デフォルトゲートウェイの設定が表示されませんでした。
そこでデフォルトゲートウェイが設定されていないのだろうと考え、以下の手順で設定を行い、スマホで無線LANのアクセスポイントに接続する場合に限り固定のIPv4アドレスを割り当てるようスマホ側で設定することにしました。
- 無線LANのSSIDの設定画面を開きます。
- 「IP設定」の項の右端にあるアイコン(下図の赤矢印)をタップします。
- 「IP設定」は「DHCP」または「静的」のいずれかが選択できますので、「静的」に切り替えます。
- 「IPアドレス」(下図(a))及び「ゲートウェイ」(下図(b))を設定し、「保存」(下図の赤矢印)をタップします。
- 他に問題がなければインターネットに接続できるようになります。無線LANルーターがWi-Fi6に対応していて、かつデュアルバンドWi-Fiの設定を行っている場合には、Wi-Fi6のアイコンが2個表示されます(下図の赤矢印)。
困ったことその2: 無線LANルーターからWake-On-LANで有線LAN側のサーバ群を起動するための設定
前置き
最初は前節の現象が発生した原因は無線LANルーターにあるのだろうと思っていたので、勢いで無線LANルーターを2台用意することとなりました。
- Buffalo WSR-3200AX4S:
自宅の無線LANのアンテナも新しいものに換えてみました。
先代のアンテナの設定がコピーできるので、設定のカスタマイズは接続の確認後に落ち着いて作業できます。
スマホがWifi6に対応している場合には接続時に専用のアイコンが表示されます。#lifeinyokohama pic.twitter.com/nkwg3fq00z— pandanote.info (@Pandanote_info) December 21, 2021
- ASUS TUF-AX5400
いろいろと設定を変えて試してみた結果、使えるメドは一応立ったのですが、アクセスポイントとして使い続けるのならもう少し高機能のものの方が良さそうだと思ったので、ASUSのTUF-AX5400をポチりました。
設置場所は取りますが、機能は豊富です。#lifeinyokohama pic.twitter.com/kOTQc1v1N9スポンサーリンク— pandanote.info (@Pandanote_info) January 1, 2022
価格はASUS TUF-AX5400の方が高いです(↓で確認できます。)
最終的にはメインの無線ルーターとしてどちらか1台を選択することになりますが、前節の現象はどちらの無線LANルーターでも発生していたので、ここまでの時点では甲乙のつけようがありません。
実は無線LANのルーターへデバイスを接続することとは直接は無関係なのですが、可能であれば改善したいことが一つありまして…
有線LAN側に接続されているサーバ群は使うときだけ電源を入れています。
今のところ、そのサーバ群の1台であるNUCが起動したときに他のサーバに対してWake-On-LANを使ってマジックパケットを送信し、サーバ群全体を起動させる構成としていますが、NUCの電源スイッチだけは最初に人力で押す必要があります。
ところがこのNUCが部屋のインテリアの構成上の理由により操作が難しい場所に置いてあるため、可能であればNUCに対してもWake-On-LANを使ってマジックパケットを送信するなどの方法で電源スイッチを扱うことなく電源をONにしたいのです。
…などと思いつつ、ASUS TUF-AX5400にログインして設定項目を見てみると…
なんと、「Wake-On-LAN」という設定項目があるではありませんか。
しかも、ASUS TUF-AX5400は無線LAN経由で接続ができれば、接続したスマホやPCでブラウザを起動することで、設定や操作を行うことができるようです。
Wake-On-LANの設定
そこで、以下の手順でWake-On-LANの設定を行ってみました。
- PCでブラウザを起動し、ASUS TUF-AX5400にログインし、画面左下の「ネットワークツール」(下図の赤矢印)をクリックします。
- 以下の画面に切り替わりますので、「Wake On LAN」(下図の赤矢印)をクリックします。
- 以下の画面に切り替わりますので、「クライアント名(MACアドレス)」の入力フィールド(下図の赤矢印)にマジックパケットの送信先のMACアドレスを入力し、右側の+アイコンをクリックします。今回の設定ではNUCのMACアドレスを入力します。
- 手順3で入力したMACアドレスがオフラインリストに追加されます。
- オフラインリストの下にある「適用」ボタンをクリックします。
これで完了です。
Wake-On-LANで起動
Wake-On-LANでの起動は以下の手順で行うことができます。
- 前節の手順4の画面にアクセスします。
- オフラインリストの中からWake-On-LANで起動したいデバイスの行をクリックします。
- 「ターゲット」の右隣の入力フィールドにMACアドレスがコピーされますので、コピーされたMACアドレスを確認後、「ウェイクアップ」ボタンを押します。
これでNUCの電源スイッチを直接操作することなくサーバ群が起動できるようになりました。👍
NUC以外のサーバ群の設定は従来通りですので、NUCが起動した後にマジックパケットが送信され、そのマジックパケットを受けて起動させることができます。
困ったことその3: アクセスポイントモードに設定すると無線LANルーターのIPアドレスがDHCPからしか設定できない件
ELECOMのルーターではアクセスポイントモードに設定した場合でも無線LANルーターのIPアドレスに固定のアドレスを設定できましたが、今回購入した無線LANルーターは2台とも動作モードをアクセスポイントモードに設定すると、無線LANルーターのアドレスとして固定のIPアドレスの割り当てができず、DHCPによる設定しかできなくなっているようです。
本件についてはDHCPサーバ(Aterm)によって割り当てられたIPアドレスがわかりやすいものであったこともありそのまま使用していますが、DHCPサーバ(自宅LANの場合はAterm)側で設定することで特定のIPアドレスを割り当てるような設定を行わないと、前節の設定画面のアクセス用のURLが変わってしまう可能性があることになりますね…
まとめのようなもの
年またぎで2台の無線LANルーターの性能の比較をすることになりました。比較の結果、ASUS TUF-AX5400をメインの無線ルーターとして使うことにしました。
無線LANのルーターをリビングに本設置しました。
インテリアに自然に溶け込むデザインです。😎#そうにゃん#lifeinyokohama pic.twitter.com/qnAmIy2adt— pandanote.info (@Pandanote_info) January 3, 2022
Buffalo WSR-3200AX4Sは引っ越し機能を使うことにより「とりあえず使える状態にする。」という観点ではASUS TUF-AX5400を上回る評価をしたいのですが、使える機能の範囲が狭いため、メインの無線ルーターとして使うのは少々厳しいという結論に至りました。
機能の差が価格の差にストレートに反映している感じです。
ELECOMのルーターは同時に接続したデバイスの数が5台を超えたあたりから接続ができなくなる現象が発生していましたが、無線LANのルーターを交換することでそのような現象はなくなりました。
今回メインの無線ルーターとして使わないことになったBuffalo WSR-3200AX4Sは予備として当面の間保管しますが、別の使い道がありそうなので、そちらで使えないか試してみるつもりです。
この記事は以上です。