Microsoft Word 2013で数式をLaTeXっぽい方法で入力しようとして試行錯誤してみた。

By | 2019年2月18日 , Last update: 2022年8月7日

はじめに

社会人になってからは、数式をバリバリと書くような仕事には従事していなかったため(一応、研究とかやっていたんですけどね…(;´・ω・))、ドキュメントはMicrosoft Word(以下、単に「Word」と書きます。)などを使って書いていました。

ところが、ここのところ数式を書く必要のあるドキュメントをたて続けに書いたので、Wordの数式の入力機能を使ってみたのですが…

$\LaTeX$とはなんか勝手が違って、特に添字の入力をするために入力用のスペースと思しき小さい四角をクリックせねばならないというのにはかなり苦労されられました。

ということで、Wordの数式の入力機能で$\LaTeX$的な入力ができないものかと軽く試行錯誤してみたので、この記事ではそれについて書きます。

スポンサーリンク

お題。

とりあえず、お題を設定します。

以下の数式の右辺をWordの数式の入力機能で$\LaTeX$的な方法で入力することを考えます。

\begin{align}
f\left(\displaystyle\frac{x^2}{2}\right) &= \frac{1}{\sqrt{2\pi}}\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n\,x^{2n}}{(2n)!!} \label{eq:gausstaylor}
\end{align}

なお上記の数式は、この記事にあります。

Wordでの数式の入力方法

ここで、本題に入る前にWordでの数式の入力の方法について簡単におさらいしておきます。

Wordで数式を入力するには、以下の手順で操作します。

  1. Wordを起動し、適当な文書または新規に文書を作成します。
  2. 「挿入」タブ(下図の赤矢印)を選択します。
  3. 画面(特にリボン部分)が以下のように切り替わりますので、「数式」(下図の赤矢印)を選択します。
  4. Wordのカーソルがある部分に数式を入力できるようになります(下図の赤矢印)。
  5. リボンにあるメニューを駆使しながら、数式を入力します。

入力していきます。

前節で示した手順で数式を入力することはできますが、ギリシャ文字や$\infty$などの特殊な文字が現れるごとにリボンにあるボタンを押すのはかなり手間のかかる作業です。

そこで、できるだけ$\LaTeX$的な方法で入力してみることにします。

sumだけはWord的な方法で入力。

…とはいうものの、和$\sum$の部分だけは該当する記号がタブに表示されていますので、以下のようなWord的な手順で入力します。(´・ω・`)

  1. タブ上にある「大型演算子」(下図の赤矢印(a))をクリックすると巨大なポップアップメニューが表示されますので、下図の赤矢印(b)をクリックします。
  2. $\sum$記号で、上、下及び右に入力が可能なものが入力されます。下図の赤矢印が数式を入力するところです。なんか気分が下がります(個人の感想です)。

分数の入力がfracマクロではできない件_| ̄|○

次にfracマクロを使って分数の入力ができないか試してみたのですが…


スポンサーリンク

ダメでした。orz

ただ、この記事では当面の間ダメだったことには気づかないふりをしつつ、先を急ぐことにします。😎

上付き文字に挑戦です。

次に、上付き文字を入力してみます。

Wordの数式入力部で以下のようにタイプします。

次にスペースを押すと…

入力できました!!

「Wordもやればできるじゃないか。」と思いつつ、以下のように入力して…


スポンサーリンク

次にスペースを押すと…

“2n”は波括弧で囲まずにスペースを押したところ、2文字とも上付きになりました。このあたりは$\LaTeX$とはちょいと勝手が違うようです。

分数の入力をやり直す。

ここまでの入力で当初予定していた分数の分子の部分の入力方法が確認できました。

ここで、$\LaTeX$のマクロ的な入力方法では入力できなかった分数の入力を以下の手順で行います。

  1. タブ上にある「分数」アイコンをクリックすると、巨大なポップアップメニューが表示されますので、下図の赤矢印をクリックします。
  2. 数式の入力エリアに分数が表示されますので、分子側の小さい四角をクリックして数式を前節の方法で入力します。
  3. 分母側の小さい四角をクリックして、分母側の式として(2n)!!を入力します。

無限大

スポンサーリンク

分数の次は、$\sum$の上の無限大を以下のような感じで入力します。

入力してからスペースキーを押すと…

$\infty$に変換できました!! (`・ω・´)

平方根。


スポンサーリンク

ここまでの作業で無限級数の部分の入力ができましたので、無限級数全体にかかる係数の部分を入力していきます。

まず分数を入力し、分母の部分に以下のように入力します。

次にスペースを押すと…

なんか微妙な長さの平方根の記号が現れます。バグなのか、はたまた仕様なのかよくわからない挙動ですが、続けての入力は可能ですので、先を急ぐことにします。

ギリシャ文字の入力。

平方根の中にはギリシャ文字($\pi$)が入ります。これも以下のように入力してみます。

次にスペースを押すと…

ギリシャ文字に変換されました。😃

最後の調整。

平方根の記号の屋根の部分の棒がないのが少々気になりますので、最後の調整を行います。

スペースキーをもう一回押すと…

平方根の記号の屋根の部分の棒が現れました!! (`・ω・´)

バグなのか、はたまた仕様なのかよくわからない挙動ですね😃

まとめ

ここまでの動きをまとめると、以下のようになるかと思います。

  • $\LaTeX$的な入力が可能そうなもの
    1. ギリシャ文字
    2. 無限大の記号$\infty$
    3. 上付き文字
    4. 平方根の記号
  • $\LaTeX$的な入力が不可能そうなもの
    1. 分数

実は和の記号$\sum$は$\LaTeX$的な方法で入力できるようですが、未検証です。

Wordの数式の入力機能だけを使って数式を入力しようとすると、特にギリシャ文字等のアルファベット以外の文字の入力をする際にかなり苦労します。

GUIで都度選択することを強いられるよりは、$\LaTeX$的な方法で入力できるというのはかなり助かりますし、Wordで数式を書かざるを得ないことになった場合でも$\LaTeX$的な方法で部分的に入力ができることを知ったので、作業がかなりはかどりました(個人の感想です)。

というわけで、Wordしか使わない人でも$\LaTeX$的な方法で数式が入力できることを知っていると得するかもしれませんよということで、本記事のまとめとさせていただきます。

$\LaTeX$について興味を持たれた方におすすめの本はこちらになります↓