sinc関数の2,3,4乗の[0,∞)の広義積分を部分積分を使って計算する。

By | 2019年5月3日 , Last update: 2022年8月7日

はじめに

ちょっと前の記事でディリクレ積分の計算を行いました。

それを使ってsinc関数の積分を複素積分を使わないで計算できないかと思い、部分積分を使って計算してみたところ、4乗あたりまでなら何とか計算できそうなので、メモすることにしました。

なお、この記事では「sinc関数」は(1)式で表される関数のことを指すものとします。

(1)

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順番に計算していきます。

の広義積分を計算しますが、sinc関数の2,3,4乗はいずれも偶関数となりますので、積分区間をとしたときの計算結果は積分区間をとしたときの2倍になります。

また、この記事では

(2)

が成り立つことは既知とします。

sinc関数の2乗()

は部分積分を用いて以下のように変形及び計算できます。

(3)

なお、(3)式の結果を利用すると、のとき、
(4)

であることもわかります。

sinc関数の3乗

2乗の場合と同様に、は部分積分を用いて以下のように変形及び計算できます。

(5)

sinc関数の4乗

[2020/06/12補足] 途中の式変形に誤りがあったので、修正しました。
2乗及び3乗の場合と同様に、は部分積分を用いて(6)式のようにひとまず変形します。

(6)

ここで、(6)式の右辺からを消去できないか考えます。

であることを利用すると…

(7)

と変形できて、さらにであることを利用すると…
(8)

と計算できます。なお、最後の変形で(4)式を利用しています。

おまけ: sinc^2, sinc^3, sinc^4のグラフ

sinc関数の5乗の計算はできませんでした。orz

そこで、区間におけるのグラフをInkscapeで書いてみました。

上記グラフ中、赤色の実線が、青色の点線が、緑色の一点鎖線がのグラフです。

まとめ

この記事で書いた2,3,4乗の計算及び途中経過については正しくない部分があるかもしれませんので、別途計算などを行った際の結果の確認用などに利用していただけると幸いです。🙇‍♂️

この記事は以上です。

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